国重要有形民俗文化財に
須佐宝泉寺の絵馬

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萩市文化財保護課の発表によると須佐の「宝泉寺・黄帝社奉納船絵馬」49点が国の重要有形民俗文化財に指定される事になりました。

それによると、国の文化審議会(西原(にしはら) 鈴子(すずこ)会長)は、1月15日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、重要有形民俗文化財に3件、 重要無形民俗文化財に2件を指定すること及び登録有形民俗文化財に4件を登録することを文部科学大臣に、また記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に5件を選択することについて文化庁長官に答申する予定です。

その中に萩市からは、「須佐宝泉寺・黄帝社奉納船絵馬」が重要有形民俗文化財に指定される予定です。全国で船絵馬が国の重要有形民俗文化財に指定されるのは6例目ですが、 宝泉寺のものは北前船の時代の海上交通に関わる信仰資料として質的にも量的にも貴重な資料で、また、49点という数量は、重要有形民俗文化財に指定されている船絵馬数に匹敵するもので、 西日本では最多を誇るものです。山口県の国指定重要民俗文化財は11件目で、萩市内ではこれが初めてです。なお、萩市内の国指定文化財はこの指定によって38件となりました。 これらの絵馬は先に昭和61年10月24日、山口県指定有形民俗文化財となっていましたが、この度、国の重要有形民俗文化財に指定されたことを大変嬉しく思います。

これらお絵馬の所有者は宗教法人宝泉寺(萩市須佐6942番地)ですが、現在は萩博物館に寄託されています。

「須佐宝泉寺・黄帝社奉納船絵馬」は、萩市大字須佐高山(標高532.8m)中腹に所在する宝泉寺とその境内鎮守である黄帝社に奉納された船絵馬49点です。奉納年代は近世後期から明治時代に及びます。 高山は、北前船の船乗りにとって航海の目印だけでなく、古くから「沖を行く船は帆を下げて敬拝」という作法があるくらいの信仰の聖地とみなされていました。黄帝とは、中国古代の伝説的皇帝で、 当地では造船にまつわる神、航海安全を祈念する神として信仰されてきたものです。それ故、高山の黄帝社は船乗りの信仰が篤く、須佐や江崎に寄港した際、海上安全を祈って絵馬が奉納されたものと思われます。
奉納者には、長門や石見のほか、能登・越中・越前・丹後・出雲・隠岐の船主・船頭等からの奉納もあり、信仰圏の広がりをうかがわせるものです。

私達のHPではこれらの絵馬について既に「温故」第7号で詳しくご紹介しておりますので、改めてお読み頂きたいと思います。また、 萩市の公式サイト「萩市の文化財」のコラムにも写真入りで紹介されています。萩博物館では2月1日からこれらの絵馬の一部を一般公開する予定ですから是非御覧頂きたいと思います。

2010年2月1日掲載


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