リレー随筆

長州風?の年中行事
中山 恭子
平成23年01月

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 来月は増野様にご寄稿を御願いします。

 山口県出身の祖母、両親と過ごした子供時代の年中行事を書いてみたいと思います。

 正月には床の間に松と鶴の掛け軸が掛けられました。中央の三方に置かれた鏡餅に祖母が半紙を熨斗の形に折り、中に生米を入れて、表に「寿」と書いたものを結びます。裏白が敷かれ、 前には、昆布、干し柿、するめが置かれました。その横には、松、南天、菊などを生けた花瓶を置きました。

 5月半ばには、実家独特のお祭りがありました。始祖とされている人と四境戦争で討死した曽祖父の弟をまつる行事です。その日は神棚が床の間に置かれ、鯛が供えられました。夜の御馳走は、 鯛の酢〆が入ったちらしずしと潮汁でした。母が作ってくれましたが、美味しかったことを覚えています。

 お盆は旧暦で行いました。床の間に金襴の敷物を敷いて日頃は仏壇にある位牌を置き、西瓜や季節の果物を供えます。掛け軸は出山釈迦でした。いつもは秋草模様の行灯でしたが、祖母の新盆には、 白の大内行灯が置かれました。16日には仏様へのお土産の意味で、白玉団子が供えられました。

 春秋のお彼岸は、祖母と母でもち米を炊き、おはぎを作りました。

 私の子供時代の1年は、この様に過ぎて行きました。皆様のご家庭は、如何だったでしょうか? 父は転勤族で、私自身も東京生まれ東京育ちですが、故郷を遠く離れても伝統の行事を守り伝えた祖母、 両親に感謝しております。私も祖先を敬う心と自然を大切にする気持ちを持ち続けたいと思います。 

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